芥箱

日々を腹いせに晒す。

つかれている。
二日間の鉄を上げ下げする作業でとてつもなく疲れている。

つかれていて放っておいてほしい時に限って周りはにぎやかしく構ってくれと私に言うてくるのである。


「寝てばっかいないで出掛けようよ」

「せっかく休み一緒なのに」

「なにか見ようよ」

特に例のごとく母は休みの私にシビアである。
世のお父様方よ、心中お察しする。




ほうっておいてください。私は疲れています。

というシールをおでこに貼りたい。
あったとしたら年中貼りっぱなしでおでこかぶれるだろうが。


でも本当に断りたい日にほど断るとヒステリック気味のカウンターを食らう。
先だってのLINE然り。
私は常に間が悪いのである。


本日の晩糧は家に居たいのに無理矢理連れ出され外食のバイキングである。
鉛のような体に容赦なくグラフィティがかかるのである。
そんな状態で頑張って席につき、一頻り豚タンとしっぽりベロチューを楽しんだ後、
アイスクリームをお行儀良くはむはむとしていた私に母が焼き肉を食っていた野蛮な箸を愛しい私のアイスクリームに突き立てたのである。


なんばすっと!スプーンで食いんしゃい!


私は叫んだ。
限りなくゼロに近い体力の中振り絞って私は叫んだ。
本日の初発声である。


母は焼き肉のタレにまみれたアイスクリームを頬張りながら感情の一切消えた顔で私をまっすぐに見据え





「あんた本当にうるさい。」




本日初めて声を出した私に向かっての言葉である。
放っておいても溶ける生クリームメンタルの持ち主である私の心は砕け散った。





その後のバイキングの記憶はない。